この先に和泉くんがいると思うだけでドキドキしてしまうのだから、恋というのは、本当に恐ろしい。


そして、完全にフラれているのに、まだそんなことを思ってしまう自分に溜息が溢れそうになった。



コン、コン、コン。



「失礼、します……」



三回ドアを叩いて扉を開くと、先ほどと同じ、横になっている和泉くんの姿が目に入る。


心なしか、先ほどより顔色が良くなっている気がした。

さっきは呼吸も苦しそうに乱れていたけれど、今は落ち着いているみたい。



「おかゆ、持ってきました……」



隣に座って、顔色を伺う。

うん……青ざめていたさっきと比べれば、随分マシになっている。



「…………あり、がとう……ございます……」

「すぐに食べますか……?」



和泉くんは、こくりと頷いた。