【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜




「……え?」



き、らい……?



「それじゃあ、もう関わることもないと思いますけど」



私に背を向けて、和泉くんが立ち去ってしまう。

バタリという音が響いて、彼が図書室から出て行ってしまったことを教えてくれた。



……嫌い……って、私のこと……


好かれる自信は毛頭なかったけれど、あそこまではっきり、嫌いと断言されてしまった。


告白したわけではないけれど、これは完全に……失恋したって、ことだ。



耐えきれずに溢れた涙が、頬を伝って床に落ちていく。


初めての恋。

初めての……失恋。



その場から動けなくて、でも体に力が入らなくて、しゃがみ込んで膝を抱える。


和泉くんに言われた『嫌い』という言葉が何度も脳内に流れて、この場から消えてしまいたくなった。