【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



案の定、運動場から遠ざかっても、誰1人気づかれることはなかった。


それでいい。心配されるのは苦手だし、ていうか上辺だけの心配とか、されても気持ち悪いだけだし。


足がふらついて、壁にもたれかかった。


コンクリートの壁が、やけに冷たく感じる。




寒い、冷たい、苦しい……



ーー寂しい。



どうして、そんな感情が出てきたんだろう。


寂しい?俺が?なんで?

自分から、こんな物陰に隠れたくせに。



「……あほ、かよ……」



……酷くめんどくさい人間だと、我ながら思う。



結局俺は、誰かに気づいてもらいたかったのかもしれない。


俺のことを、ちゃんと見て欲しくて、いつだって俺だけを見てくれる人間を探していた。