【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



……うん、どうせ偶々だ。


俺が何か、ヘマをしたんだろう。


そう思うことで、俺は平静を装った。









「………」

「おーい和泉!練習試合始まんぞー!」



部員に呼ばれ、慌ててコートの端に立つ。

佐倉先輩の練習試合が始まるから、部員一同目を輝かせていた。


俺も、いつもなら喜んで観戦するが、今はそうもいきそうにない。


もう、身体が言うことを効かなくなっていた。


悪寒のせいで鳥肌が止まらなくて、変な汗がシャツを濡らす。


せっかくキャプテンのプレーを観れるチャンスなのに、もう気丈を装うのも限界だった。



試合が始まり、場が大きな盛り上がりを見せている。