【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜


非力な自分を情けなく思いながらも、助けを呼びに行こうとした時、




ーー和泉くんに手を掴まれ、弱々しい力で引き寄せられた。



本当に一瞬のことで、何が起きたか理解できない。



「和泉、くん?」



私、今……


……和泉くんに、抱きしめられて、る……?


私を包み込む、大きな体から伝わる熱が酷く熱くて、触れた部分が溶けてしまいそう。

頭が回らなくて、私はただ、固まることしか出来なくて……



「……か、ないで……」



和泉くんの、消えそうな声が頭上から降ってきた。

……え?


今、なんて言ったの……?


確認しようと思って、顔をあげる。

私の視界に映ったのは、ぐったりと頭を垂れ下げている姿。



「あ、あれ?和泉くん……?」



もしかして……



「……う、嘘っ……」



この体勢のまま、意識失ってる……っ?


和泉くんの全体重が、私の身体に掛かる。

完全に身動きを封じられ、私は途方にくれた。