【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



何処にいても、遠くにいても、和泉くんの姿だけが何故か輝いて見えて、

和泉くんの周りだけが、補正がかかったように、煌びやかなフィルターが見えるほど。





コートを囲む声援の、後ろ。

私は、フラフラと物陰へ移動する和泉くんの姿が見えた。




「……っ」

「……え?静香さんっ……!?」




困惑した様子で私の名前を呼ぶ健太くんの声も、今は届いていなかった。

私はその場から駆け出し、急いで和泉くんの元へと走る。


迷惑がられるとか、関わらないようにとか、もうそんなことは頭の中からすっぽり抜けていて……



物陰へと移った和泉くんを追いかけ、角を曲がる。




ーーそこには、壁にもたれて苦しそうにしている、和泉くんの姿があった。




「和泉くんっ……!」



急いで駆け寄って、和泉くんの容態を確認する。