動くどころか、怪我をした彼に見向きもしないマネージャーさんたち。


その光景を不思議に思いながら眺めていると、違和感は膨らんでいく一方だった。


「きゃー！！佐倉せんぱーい！！」

「頑張ってくださーい！」


「和泉くん！ファイトー！」

「きゃあー！！」



……え、えっと……


これは、ファ、ファンクラブ……？



シュート練をしているサッカー部員たち……改め、主に佐倉先輩と和泉くんに、投げられる歓声。


マネージャーさんたちは皆、彼らを見ながら目をハートにしている。



「１０分休憩ね、みんな水分補給しっかりしろよ」



佐倉先輩の号令と同時に、女の子たちはタオルと水分補給用の水が入ったペットボトルを持って一斉に駆け出した。