【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜



俺は親父みたいに、女に振り回されないって、変な女に引っかかったりしないって、決めていたのに……


親父と同じ道を辿ろうとしているみたいな気になって、頭が痛くなった。


机に並べた筆記用具を慌ててカバンに直し、急いで図書室から出た。



もう、あの女には関わらない。

絶対に、近づかないーーー





そう、決めていたのに。


それから、一ヶ月程が経った日だった。



今日は整備でグラウンド使えず部活が休みになり、俺は図書室に向かっていた。

最近自分にあったトレーニング法に試行錯誤していて、図書室の本でも参考にしようと思ったからだ。


ただ、ひとつだけ気掛かりがあった。


あの女が、いないだろうか……。

この前受付にいたということは、図書委員だってことだろう。

もし、あいつがいたら行くのはやめよう。

顔も、見たくはないし。