鬼村に来たのはいいが鬼たちに好奇な目で見られている気がした。
名月は鬼たちに向けられる目に気づきながらも、気にしてはいないようで堂々と村を歩いている。

村は賑わっているわけでもなく静かでもなかった。
鬼の姿が多かったのだが、徐々に人間に化けた鬼の姿を目にするようになった。恐らく名月を食べるためであろう。

鬼たちのほとんどは人間を食べるといわれている。
食べずに親切にしてくれる鬼もいる。
だがこの村は人間を食料としか見てはいないようだ。

先ほど人間に化けた鬼が、名月に話しかけられては事情を話すと親切に鬼気という鬼に会わせてくれると言うので、親切に道案内をしてくれてると思いきや、案内されたのは食料に飢えている鬼集団だった。襲い掛かられてしまったので逃げてきた。

逃げるのに時間はかかりはしなかった。あの鬼たちは妖力が少なかった。このまま妖力がなくなるといずれあの鬼たちは消える。鬼たちは追いかけても妖力の無駄だと思ったのだ。

逃げているのを見つけ興味があったのか名月の後ろをついてきている人の子姿の鬼。

後ろの鬼を警戒しながら気にしてない表情で歩いているが、いつまでもついてくるのでこの鬼に鬼気について聞こうと思った。