無現実 名の知れた月

瞼を開けるといつのまにか寝ていたことに気づいた。今回は何も起きていないようだ。廊下でそのまま寝てしまった。冷たい風に当たっていたから肌寒い。

そろそろ夜も明ける。何時もより早めに滝に打たれてこようかと白装束を取りに行った。

滝行が終わり、部屋で休んでいるところ和尚に呼び出され、鉈を持ち大広間へ行き胡坐をかいて座った。

和尚も名月の正面に座った。名月は警策がないことに珍しさを感じた。

「疲れているのにすまないな、あの鉈のことでかなり精神的に影響が出ているのを承知の上で名月にはある依頼を受けてもらう」

「和尚の依頼・・・」

「あぁ、まずいくつかの場所に行ってもらう、その場所は鬼村、地獄の門、阿修羅導、冥界の寺、森羅の森・・・」

和尚は懐から紙を取り出した。

「詳しくはこの紙を見なさい、それでも分からなければその場所に行けば分かるから」

「・・・?」

和尚は名月に紙を持たせると名月に小袋と鉈を持たせ困惑する名月を寺から追い出した。門は閉じられ仕方なく和尚にもらった紙を広げて見る。