鬼気は笑うと、姿を消した。

名月は瞼を閉じ、瞬時に鉈を盾に素早く後ろに振り返った。

「わわっ!」

鬼気は姿を現し鉈にぶつかる寸前で後ろに素早く飛んだ。

瞼を開け鬼気を見る。
鬼気は嬉しそうだ。
鬼気の異様な速さに名月は危機一髪だと思った。
鼓動が早くなる。
軽く一息をついた。

「おねぇちゃん、いまのすごかったよ! こんなことされたの初めて」

周りの鬼たちは感心したような声が聞こえた。

「・・・勝負の説明もなく襲い掛かるのはどうかと思う」

「だって! ちゃんと強いかどうか試さないとあの世に連れていけない!」

名月は不機嫌な表情をした。

「・・・もはや勝負ではない」