......。
斬ってしまった。
絶命した彼に彼女は微かに戸惑いながらも哀れみの視線を向けた。
戦いなのだから、仕方が無い。
だがやはり、死というのは相手が敵であろうともそう簡単に割り切れるものでは無いのである。
ッ。
彼女フッとそこから視線を逸らし、そのままもう一度は見ずに倒れる彼の元へと駆け寄っていった。
「カイム!?
カイムっ!」
駆け寄り必死になって彼の名を呼ぶ。
――――。
だが返事は無い。
答えずぐったりとする彼血塗れで、彼女の不安を更に煽る。
「ッ.....!
ねぇ、カイムっ!」
シエラは頭が真っ白になった。
無事なのだろうか?
死んでしまったりしないだろうか?
そんなカイムへの想いが重なりすぎて、何にも考えられなくなる。
今日つい数刻前の宿屋での一件も同じだった。
理由は違えどあの時も倒れた彼を見て、シエラは心臓が止まる思いだった。
彼女の頭はあの時も真っ白になった。
――――。
数刻前の宿屋での一件はただお酒に酔って倒れたなんて言う笑い話で済んだけれど。
だが今は違う。
ここで彼が目を覚ましてくれなければ、悪い冗談にもならない。
あの時は下らないその理由に無駄に心配をした自分を悔しがったけれど、今はそんな下らない理由が欲しい。
今この状況こそが、つい数刻前のあの時のように笑い話で終末を迎えてくれることを彼女は祈った。
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