また軽く笑いながら呟くように言う。
ッ。だが今度のその紅の瞳の笑みの奥には何処か暗さを感じられた。
「ん?
何か言ったかい、兄ちゃん?」
「いいや、なんでもない」
そんなジェイドの言葉の陰りに、店主の男は気が付かなかったようである。
聞き返してきたその声に、別に繰り返し言うことでもなくてジェイドは軽く流した。
「ん、そうか。
あ、そうだ兄ちゃん!
時間に余裕があるなら、近い内にあるこの街の祭りを見てくといい!
この街で最大の祭りだ。見ていって損はねぇ!」
「お、祭りか!
いいねぇ、たまにはそういう華々しいのも。
ハハハッ、どうせ暇だしな!行ってみるか!
じゃあそれまで世話になることにする。
頼んだぜ、おっちゃん?」
「おう!任せけ兄ちゃん!
祭りまではまだ日がある。その間に街を見学でもしてくるといい。
珍しいもんがたくさんあるぞ?
何せ此処は様々な者が集う交易の街だからな!ガハハ!」
「あぁ、そうすることにする」
宿屋の店主は、ジェイドの返事にニカッと笑う。
そしてジェイドも、つられるようにお得意の軽い笑み。
「じゃあ、兄ちゃん。
部屋に案内するから来てくれ!」
宿屋の店主は、そう言うとその場に立ち上がる。
それから部屋の奥にある扉を指差して、ジェイドを見た。
「さぁ、こっちだ。
ジェイドの兄ちゃん」
宿屋の店主が手招きをする。
その手に誘われ呼ばれる方へと歩いていく。
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