大空くんはただブルーインパルスが見たいだけだもんね。わたしなんか、ただ場所を借りる時にいる女。
「さあ、みかんなんて後で食べられるんだから行こう!」
「待って。みかんが食べたくて断ったわけじゃない!」
「わかってるって」
わたしの手を握る大空くんは大きい。
背が高くて、こんな太陽なんて関係ないくらいに眩しくて、曇っていたわたしの心を洗ってくれるみたい。
だから、その優しい笑顔に甘えたくなる。
「あのね」
大空くんが持っている無線とラジオから、もうすぐ航空ショーが始まるという声が聞こえる。
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