【短】君が撮る秋空に、わたしの恋心が浮かんでる。



 大空くんはただブルーインパルスが見たいだけだもんね。わたしなんか、ただ場所を借りる時にいる女。



「さあ、みかんなんて後で食べられるんだから行こう!」

「待って。みかんが食べたくて断ったわけじゃない!」

「わかってるって」



 わたしの手を握る大空くんは大きい。
 背が高くて、こんな太陽なんて関係ないくらいに眩しくて、曇っていたわたしの心を洗ってくれるみたい。


 だから、その優しい笑顔に甘えたくなる。



「あのね」



 大空くんが持っている無線とラジオから、もうすぐ航空ショーが始まるという声が聞こえる。