「ただいま。そろそろあっち行こう」
大空くんが帰ってきた。何となく、意地悪言いたくなる。
「一人で行ったら?」
「美樹ちゃんと行きたいの」
茶髪が光を集めて輝いてる。
同じくらい綺麗な瞳に吸い込まれていく。
本当なら、こんなカッコイイ人との接点はなかった。おじいちゃんがいなければ。
この場所での写真撮影を許したのは、わたしのおじいちゃんだから。
「そういえば髪切ったの?」
「どちらかというと伸びた。だって一年前だよ。髪型だって変わる。夏はポニーテールにしてたんだから」
「それは見たかったな」
思ってもないくせに。
夏になんて会えない。
大空くんの目的は航空ショーで、十一月の決まった一日しか会えない。違う。数時間だけ。



