「キスはしないよ。」 唐突に言われて私の方が呆れた声を出す。 「だからなんの宣言?」 「したいけど。」 「……ッ。」 「酔って覚えてないとかありそうだし。」 「そこまで酔ってないわよ。」 「したいの?」 「…それは………。」 「でも、しませーん。」 「澤口こそ酔ってるでしょ。」 いつもより悪ノリが過ぎると思って見上げてから、しまった。と思っても遅かった。 少し潤んだ瞳と目があって外らせなくなった。 どちらからともなく顔を近づけて……。