着いたお店はイタリアンの可愛らしいお店。
 なんというか。
 澤口はなんでもスマートで逆に嫌味だ。

 席はソファ席と椅子があるテーブルで勧められるままソファ席の奥に座ると何故か澤口が私の隣に座った。

 私の向かいに知世で、その隣が小倉くん。
 普通って男同士、女同士で隣に座らない?

 釈然としない気持ちでいると、そんなことどうでもよく思えることを小倉くんが口を尖らせて言った。

「野郎どもと行く時は牛丼屋とかで済ませるくせによ〜。」

 澤口が……牛丼屋……。

「どうでもいいだろ。余計なこと言うな。」

 澤口が煩わしそうに小倉くんを邪険に扱う。

「高橋さんの前ではどうせカッコつけてるんだろ。」

「うるさい。黙れ。」

 なんだか意外だ。
 クスクス笑う私を澤口は小突く。

「お前も笑うなよ。」

 今度は知世が「なんだか私達、お邪魔虫だったね」と小倉くんに訴えている。

「本当にね。
 見せつけたいなら他でやって欲しいよなー。
 同期がイチャイチャしてるの見ると胸焼けする。」

「馬鹿。小倉が紹介しろって言うから会わせたんだろ?
 じゃなきゃ誰がこんな……。」

 頬づえをついてそっぽを向く澤口に3人で笑った。