お風呂を出た澤口にベッドへ誘われるなんて羞恥プレイをする勇気もなく、寝たふりを決め込もうと先にベッドへ入っておいた。

 何もないって分かっているのに、ドキドキと騒がしい胸の鼓動が煩わしい。

 少ししてお風呂を出てきた澤口が私を確認することなく、反対側からベッドへ入ったのが気配で分かった。

 大きなキングサイズのベッドに男女が2人、間を空けて横になる。
 変な図式が出来上がってしまった。

 こんな高級ホテル。
 予約してくれていたのだろう。
 もちろん予約したのは澤口なわけで。

 ツインじゃなく、1つだけのベッドの部屋にしたのは、予約した時は……そういうつもりだったんだよね?

 それなのに、まだそうはならないと言う。
 言うだけではなくて、この距離感が本当だということを物語っていた。

 思わせぶりな態度しておいて……。
 もしかして、、。

「澤口?」

「ん?」

「澤口って、さ。
 もしかして、女の人とのそういうことに興味がないから見合い?」

「は?」

「べ、別に私はそれでも大丈夫だよ。
 その、私は別に……。」

 澤口は私へ込み入った質問して来ないのに、何、デリケートな部分の質問しちゃってるのよ!
 寝たふりするつもりだったくせに!

 ベッドから起き上がった澤口が近づいてきたのを感じて体を固くする。
 変な詮索するなって頭を小突かれるだろうと思って肩を縮めた。