澤口の後をついて歩き続け、気付けばホテル街だった。
 安いモーテルが立ち並ぶお世辞にもいい場所とは言えないところ。

 昨日見た絶景の夜景も、岡本課長から誘われた高級ホテルも。
 全てが夢だったのかって錯覚に陥るような場所。

 お前にはこんな場所がお似合いだって言われているような気がした。

 コンビニへ寄った澤口が何をしたいのか立ち読みをして、その隣に立つ。

 死刑宣告を待っているみたいな心持ちなのは大袈裟でもなんでもないと思う。
 連れ込むつもりなら、さっさと連れ込んで欲しい。

 そしたら頬を平手打ちでもして「安い女だって思わないでよ」って啖呵を切って………。

「行こう。」

 言葉少なに歩き出す澤口の後を緊張気味についていく。
 脇目も振らず歩いて行く澤口に胃がキリキリと痛んだ。