「澤口くんがダメ男になるイメージは皆無だよ?」

「まぁ。そうかもしれないけど。」

「なら当初の計画通り、お受けしていいんじゃない?」

「ダメ男じゃないかもしれないけど、何か裏があっても驚かないでしょ?
 だって澤口だよ?
 私のことを嫌いって断言した。
 しかも会う度に未だに言われる。」

 知世に見合い初日から昨日のことまで全てを話してた。
 お昼休みじゃ話し足りないくらいだ。

 澤口への恨みつらみ。

 それなのに知世は私に澤口を勧めてくる。

「案外、澤口くんとなら上手く行くと思うんだよね。
 のめり込み過ぎずに冷静で入られた方が朱音にはいいんじゃない?」

「それに」と知世は付け加えた。

「澤口くんは一癖あるかもしれないけど優良物件だって思うもの。」

 一癖なんて可愛いものじゃないよ………。

 そう思うのに、心のどこかで澤口以上に結婚相手としていい人と私が自力で出会える気がしないって思ってる。

 例え次も見合いを頼んだって澤口を断って次を紹介してもらえるのかどうかも分からない。

「……こんな打算的な考えでいいのかなぁ。」

「お見合いなんてそんなものでしょう?」