「……うん、、でも。海外に行ったら、、会っちゃうの?」
妬いてるのか。
それは、そうか。
でも、なんだろうな、拗ねたように聞く朱音が可愛くて仕方がない。
「嫌なら行かなくていいよ。
海外なんて。」
「だから、それはダメ。」
朱音の中で俺は海外赴任に戻るべき人材だと決めつけがあるらしい。
どんなイメージだって構わないけど。
「指輪。」
「ん?」
「良かったよ。送った後で。」
午前中の女友達も、午後からの健太郎も。
朱音の左薬指で視線が止まって、ため息を漏らした。
女友達は羨望のため息。
健太郎の方は絶望のため息……かな。
「誰もが羨むブランドなのに……」と躊躇していた朱音は遠慮からか控えめなデザインを選んでばかりいた。
その中でも目を奪われていた控えでありながらもエレガントな指輪を選んだ。
選んだ時も幸せそうに「ありがとう。一生大切にする」とはにかんだ笑顔を浮かべた朱音に送って良かったと思った。
今回は指輪を通して俺の朱音への本気度と経済的に朱音と生涯を共にする男として申し分ないことを知らしめるのに十分なアイテムだった。

