「悪かったな。
雰囲気を悪くさせて。
久々だったんだろ?」
健太郎と別れて歩く帰り道。
朱音は健太郎を叱ってからあからさまに元気が無くなっている。
それは、健太郎の一言のせいだろうか。
「ねぇ。実家って今から行くんだよね?」
「なんだ。行きたくないのか?」
心なしか歩く速度もゆっくりで元気がない。
ったく健太郎の奴………。
「海外の彼女を気にしてる?」
繋いでいた手が僅かに反応して気になっていることが伺えた。
「健太郎が………ごめんね。
もっと仲良くなれるかなって思ってたのに。」
「朱音が謝ることじゃないよ。
それより……質問の答えは?」
黙ってしまった朱音の手を引いて道の脇へと朱音をいざなった。
そして手を取ってキスを落とす。
「俺の気持ちを疑わないで欲しい。
朱音、だけだよ。」

