「健太郎は彼女いないのか?」
「そんなこと……ないけど。
年上の朱音ちゃんに釣り合うには社会人になって、ちゃんと………。」
口籠る健太郎に牽制しておく。
弟だと思いつつも、牽制する辺り、やっぱり俺も大人げないのかもしれない。
「本気で自分のモノにしたいって思ってるなら、今って時に行かなきゃダメだろ?
俺から奪う気があるなら本気で来いよ。
今ならまだ間に合うかもしれないぞ。」
「は?それって………。」
朱音が戻ってきて話は中断された。
釈然としない顔をする健太郎は俺を睨んでいる。
そして唐突に口を開いた。
「朱音ちゃん。
こいつ、海外に女を待たせてるって。」
空気が凍りついたのが分かった。
朱音が固い顔をさせて口を開く。

