私は嫌な緊張感を持って返事を待っているのに、澤口は普通の質問と同じような感じで答えた。

「まぁ半分は。」

「半分って。」

 私の方が睨みたい気分なのに、意地悪な視線を向けられて思ってもみなかったことを言ってのけた。

「嫌いって言われて俺のこと忘れられなかったんだろ?
 ざまーみろ。」

「………はい?」

 まさか、、まさか、そんな理由?
 夢にまで出てきて、うなされたりしたのに!

 憎らしくて文句は声にならなくて、胸をたたく。

「ごめんって。」

 軽い謝りの言葉に納得できない。

 私は理不尽な理由を聞いて怒っているのに澤口はどこ吹く風で持論を展開する。

「半分は本当の気持ち。
 馬鹿だなぁって思ってた。
 ダメな男に捕まって。
 朱音は自己評価が低いんだよ。
 だからあの頃から俺が変えてやりたかった。」

「……そんな雰囲気一度だってなかった、、よね?」

「あの頃はバンドマンを目指す彼だったかと付き合ってただろ?
 俺、人から奪う趣味ないし。
 それに海外に行くつもりだったから、奪った上にすぐに遠距離とかそんな無責任なこと出来ないしな。」

 どっちが真面目……。