岡本課長に誘われたからってもうなびいたりしない。 それでも変わらず助けてくれる澤口。 どうして助けてくれるの? 諦めようって思っていたのに。 身を引こうと思っていたのに。 お願いだから私のプライドを守らせて。 私は絞り出すように澤口へ伝えた。 本当の気持ちは胸の奥深くに隠して。 「ありがとう。 でももう大丈夫だから。」 精一杯の微笑みを向けて、澤口の前から立ち去った。 私は澤口の足枷になりたくない。 同期期待の星で、すぐにでも海外へ戻って活躍する澤口の隣で笑うのは、私じゃない。