「というより、人に弁当を作るのが初めてというのも意外で嘘っぽい。」

 平然とひどいことを言う澤口を睨みつける。
 こんな関係が平常運転って、なんだかなぁ。

「普通っぽいお付き合いをしたことがなくてすみませんね。
 映画を一緒に行くのも初めてだったし。」

「ハハッ。それは悪かったな。
 初めて行った映画で寝るとか、俺、最悪だろ。」

「えぇ。最悪ですとも。」

「俺も。弁当なんて作られるの初めて。」

 澤口の言葉にしばし固まる。

「何?俺はどんなイメージなわけ?」

「分からないけど。」

「なんだよ。それ。」