失翼の天使―wing lost the angel―

「何で言うかなー……;;」



女将さんが出て行くと、耳が赤い鷺沼先生が、ブツブツ言いながらお絞りで手を必要以上に拭い始める。

それに倣い、手を拭いてると、すぐにビールが運ばれて来た。

栓の抜かれたビール瓶を受け取り、お酌すれば奪われ、私の分のグラスにお酌してくれる。

「乾杯」とグラスを合わせ、一口。



「はぁーっ、美味しい」



瓶ビールなんて久しぶり。

いつも缶ビールだし、吞みに行くところはジョッキが多い。

この歳にもなれば、瓶ビールが一番美味しいと言うオジサンたちの気持ちもわかる。



「優海先生は、あの2人の妹ならいける口でしょ」



「あの2人と一緒にしてると後悔しますよ?」



「……どっちの意味で?」



「さぁー?後でのお楽しみです」



「…………くだを巻くようなら見捨てさせて頂きます;;」



「はい、貰います!」



私の吞み加減を気にする鷺沼先生にニヤリと笑いながら2杯目をお酌して貰うと、柚子風味のドレッシングがかかったグリーンサラダやお刺身の盛り合わせが運ばれて来た。

全てが国産食材で、大将が吟味しただけあり、チェーン店の居酒屋とは比べ物にならないほど美味しい料理がテーブルに並んで行く。