失翼の天使―wing lost the angel―

「奥さんは今、眠っておられます。念の為、胃洗浄を行いましたが、薬の成分も量的にも問題はなく、1週間ほどで日常生活にも戻れると思いますので、話し合いはその後にでも」



「けど……良かれと思ったら、これですからね。難しいです……」



「奥さん、慣れた地よりも、ご主人がいらっしゃる方が安心なんじゃないでしょうか。それにコウタ君も、小学校に上がってからの方が転勤について行く事を嫌がるかも知れません。今だからこそ、家族が一緒に居られるんだと思いますよ」



「そうですよね……。はい。ちゃんと話し合います」



「「はい」」



精神科に通う人たちは、メンタル的に弱いだけではないと思う。

自分の気持ちが人に通じない事に、攻撃的な気持ちになってしまう人が居る。

じゃあコウタ君のお母さんがどちらかと聞かれたら、今はわからない。

しかし、ご主人と一緒に居たいという言葉が、この行動に移させたとは思う。



「先生、ありがとう!」



「うん!偉かったね、コウタ君!」



「うん!大きくなったら、先生みたいになるからね!」



「頑張れ!」



パパに抱かれるコウタ君と握手をし、安定してる奥さんと一緒に内科へ移って貰う。