失翼の天使―wing lost the angel―

「から揚げ良いな!」



「2個しかないからあげない!」



「何でだよー!一つくれよー!」



「ヤダぁ!」



私を挟んでコウタ君にちょっかいを出す鷺沼先生。



「…………」



「ん?」



ちょっかいだと信じてたけど、ふと目を見ると本気そうで思わず固まる。




「いえ……から揚げ今度あげますね;;」



「それはありがとう!」



「…………?;;」



…大人のフリした子供だよね?;;

35とかだよね?;;



「コウタ!コウタ!!」



から揚げの次にウインナーを強請る鷺沼先生を横目で見ながら苦笑いを浮かべてると、男性の声が聞こえた。

振り返れると、ナースステーションの受付カウンターに手を着き、肩で息をするスーツが乱れた男性。




「パパだ!」



「コウタ!!……えーっと、あー……;;」



「そちらからどうぞ!;;」



入り口に迷う男性を事務さんが扉を指して案内する。

私は椅子から降り、最後に残されたウインナーを頬張ったコウタ君も抱き下ろした。



「この度は申し訳ありませんでした!!1週間前に転勤が決まりまして、妻と夫婦喧嘩をしてしまいまして……;;あいつは精神を患ってますし、コウタもここに3年居ますから、残そうかと考えたら揉めて、俺が家出したばかりに……」



…なるほど。