失翼の天使―wing lost the angel―

智也を残して外来棟に走り出し、整形外科へと向かう。

外来棟の2階へ、エスカレーターを1段飛ばしで突き抜ける。



「救命の長崎ですが」



「良かったー!袴田先生が戻らないから気になってて」



「こちらです!」



外来ナース2人に案内され、中待合へ行くと、70歳前後のおばあさんが長椅子に横になってた。



「何があったんですか?」



「ここで転ばれたのですが、そのまま眠られて……。声を掛けても起きる様子がなく、頭を打たれたかどうかもわからなくて」



「転倒後に?それ逆なんじゃない?」



状況を聞きながら、顔色を覗くも異常はなさそう。

脈拍も正常。

しかし、目の下にはクマが見受けられ、寝不足のあまり立って寝て、倒れただけだろう。



「今日、診察室に空きは?」



「それがなくて……」



「隣の精神科にリラクゼーションルームがありましたよね?運んで寝せてあげて下さい」



「「わかりました」」



…智也の馬鹿。

年齢的に後期研修医で各科でそれなりに経験して来ただろうに、何でちゃんと診ないかな;;

呆れながら救命に戻り、鷺沼先生に報告。

おばあさんが何事もなく寝てるだけで良かったけれど、整形外科も診きれないほど忙しいのかな。