失翼の天使―wing lost the angel―

「ナガさん、隆寬-タカヒロ-お兄さんと別れたそうじゃないっすか!もう会えないかと思ってました!隆寬お兄さんのお母さんが寂しがってましたよ?隆寬お兄さんのお母さんは、ナガさんがお嫁さんに来ると信じてたみたいだから」



「何故、3回も名前を言う;;」



「え?“隆寬お兄さん”の名前ですか?」



「空気を読め!ここは仕事場!用がないなら今すぐ立ち去れっ!!」



「……何を指差してます?」



「「…………;;」」



…この馬鹿、どうにかならないだろうか;;

わざとではなく、天然……アホ故に元彼の名前を3回どころか4回も言った智也に、無駄だとわかりながら、救命の出入り口を指差しながらキレるも、やっぱり通じない。

後ろで聞いてるであろう鷺沼先生と副島君の呆れ、そして私への同情が混じる視線を感じる。



「ナガさんが居るなら話は早いです!ヘルプお願いします!」



「は?何、ヘルプって!何で電話しないの!」



「俺、味が速いじゃないですか。電話より良いかな?って!」



「よくないでしょ!何があったの??」



「整形の待合で寝ていらっしゃいます!」



「……行って来まーす;;」



…ダメだ;;

智也と話しててもラチが明かない。