失翼の天使―wing lost the angel―

相変わらずの赤いコンバースで、荒れ果てたクラブ内を回る。

割れたグラスの破片。

足元を取られぬように気を付けながら進むと、警察の人が手を挙げた。

だいたいトリアージは済んでるらしく、呼ばれた所に行くと、伸びてる男性が1人。



「ここのオーナーで、鉄パイプで殴打されたようです」



「……そうですか」



高そうなスーツに遠慮なくハサミを入れ、シャツを全開にする。

痣にはまだなってないものの、殴られた箇所は赤くなっており、腹部が膨れて居た。

エコーをすれば内出血が診られ、私は開腹を決断。

照明が暗めにセットされてる為、運び出して白車内で行う事に。



「開腹するから挿管……ダメだ。気管切開してからやる。うちのナース呼んで下さい」



顎の骨が折れてるのか、上手く開かない口。

早々に諦めて気管切開して、喉からチューブを入れる事に。

救急隊員でもなかなか見ないであろう気管挿管に、瞳が揺れ、動揺が見えた。

友田君か姉を呼び、サポートして貰う事に。



「入ります」



「お願い」



管に酸素吸入のチューブを繋いだところで姉が来た為、立ち位置をずれる。

メスを受け取り、拡張器を嵌めてる間、姉はラインを確保して指示はなくとも確実に薬を落として行く。