失翼の天使―wing lost the angel―

出動用の車に乗り込み、友田君が車を走らせる中、私たちは消防と連絡を取り合ったり、準備に掛かる。

どちらかと言えば、赤嶺クリニックの夜間救急では、出動が主な仕事。

手袋の箱一つにも“1号車”と書かれており、3台も出動車を揃えており、名は赤嶺でも、兄の理想に近い仕事が出来てるようにも思う。



「とりあえず手分けしてトリアージするから、優里さんと友田は軽傷者の手当てしながら様子診といて」



「「了解」」



遥真さんの指示で散らばり、私はクラブの入り口前に転がる人へと駆け寄る。



「わかりますかー?」



「ちょっ!何であんたなのー!?;;あのイケメンに診させてよー」



…オカマ?;;

露出激しいミニスカのワンピースを着て、腹部を押さえてるのに、発せられた声はテノールボイス。



「あの人は看護師です。残念ですが診られないので我慢して下さいねー」



友田君に片腕を伸ばすオカマさんに、遠慮なく胸元から触れて行く。

触診し、腹部を重点にチェックするも問題はなさそう。

黄色タグを付け、念の為、要注意として次の患者さんへと駆け寄る。



「奥歯やってますね。搬送して抜いて貰って下さい」



「えー!;;」



「グラグラしてるの無理矢理抜いたら痛いでしょ?」



抜いてあげても良いけど、耐えられないだろう。