失翼の天使―wing lost the angel―

「やっぱり深いなぁ…… 」



「オペは出来ないんですか?」



「賭けに出ると同じかな。他の神経を傷付けてれば、視界は完全にシャットダウン。もしくは他に障害が出る。その確率の方が高い筈だよ。仮に上手く行っても、はっきり見えるわけじゃない。今よりぼんやりとは見えるかなって位。だったら、今の光りを大切にする方が良いと思うけど……。まぁ、脳外の先生次第だけど」



意識ははっきりとしてるのに、何も出来ないという壁にぶち当たった。

患者さんが亡くなった時に続いて辛い事。

念の為、兄を叩き起こして確認するも、首を左右に振るだけ。

今出来る事は完全になくなった。

一晩、観察ベッドで様子を見る事になるもカーテンの向こうでは、平衡感覚を失ってるせいか、お手洗いすらままならない事に苛立つ声が聞こえる。



「すみません!こちらに北条真佐人-ホウジョウマサト-が運ばれたと思うんですけど!」



「救命救急センターの長崎です」



「あ、僕が上司で、こちらがご両親です!」



「別室でお話しさせて下さい」



社長さんと思しき人と、ご両親をカンファレンスルームへと案内。

画像も見せながらの病状説明。

そして、女性についても話した。