「もう危ない事しても、診ませんからね!」



「はーい!年寄りらしく、大人しく過ごしますよ」



「お大事に」



3人で姿が見えなくなるまで見送ると、すぐに表情は暗くなった。

何も出来ずに終わってしまった悔しさが溢れてしまう。



「どうしたの?やけに暗いけど」



「何でもない」



「ふーん。ま、後でカルテでも見れば――…」



「どうなるんですか?貴方なら助けられるんですか!」



「優海先生;;」



「研修医は、指導医や上級医なしで診断を下せません。無論、ナースもです。けど貴方は副島君の診察を妨害し、自分の診断結果を押し付けようとした。その次は関係ない患者さんのカルテを開示して、鷺沼先生のお気持ちを知ろうとして、それが医療従事者のする事なんですか?貴方はここで何をしたいんですか?主任ならもっとちゃんとしてはどうなんですか!」



「――…っ、」



「ちょっ、優海先生!;;」



こんな時にも癪に障る大池主任に、勤務初日からキレてしまった。

鷺沼先生の制止も無視して言いたい事を告げ、ナースステーションを出た。

4月の夜はまだ肌寒い。

身を縮めながら中庭へと出た。

ベンチに座りながら、星を見上げる。