失翼の天使―wing lost the angel―

運び出し、初療室へと駆け足で向かう。

熱傷で気道が狭くなって来てる為、台へ移すなり挿管。


「……これは……」



保護用のアルミシートを開いた姉の声に顔を上げると、他の3名と比べると熱傷の範囲が広い事がわかった。



「どっちか手伝って」



「「行く?良いよ?」」



離れたところに立つ研修生に声を掛けると、押し付け合うようにして動かない。



「ショートカットの方で良いよ」



「……嫌だぁ……;;」



…は?



「じゃあ良い。そっちよアップにしてる子は?」



「は……はいっ;;」



どの科を希望してるかわからないけど、あのショートカットの子はダメだ。

受け入れない。



「ガーゼに軟膏塗って」



「はいっ;;」



手を震わせながら、姉に渡されたガーゼと軟膏を受け取り、包交車からスパチュラを取って塗り始めた研修生。

何だかんだ、この子は使えるかも知れない。

姉が消毒したところから軟膏が塗られたガーゼを熱傷部分に隙間なく置いて行く。



「仙田さん。膀胱留置カテーテル入れて貰ったら外科の無菌室に運ばせて。1日1回ガーゼ交換させて、感染症がなければ皮膚科に託すように指示しといて」



「わかりました」



感染症が発症しなければ良いけど……。