失翼の天使―wing lost the angel―

「切迫破裂」



「このまま行く。師長、入って」



「はい」



破裂寸前の瘤。

賴真は指示を出しながら消毒液を掛けた。

閉腹し終えた武藤君に麻酔を掛けたところで交代し、直介に姉が入る。

ドレープを掛け、開腹。

瘤を除去し、人工血管へと交換するオペに入る。

--プップーッ



「主任、出て下さい」



「鷺沼総合病院、救命救急センターです」



『▲▲の繁華街にて多重衝突の事故。負傷者が多く、うち2名が救出に難航。ドクターの派遣をお願いします』



「……やれる?」



「と、トリプルエーは……っ」



「やれる?やれない?」



「……や、やってみますっ」



「私と主任、友田君で行こう」



「向かいます!」



重なる時は重なるもの。

私は武藤君を信じ、その場を託した。

処置道具の入ったバックを手にした仙田さんと走り、出動用のアウターを手に走る。

運転席に乗り込む友田君は、言わずとも自分の役目を心得てるようだ。

車を走らせながら無線で消防と連絡を取り合い、現場直近に車を停めた。



「どうなってるの、これ……」



救出が難航する車両に近付くと、玉突きでも2台が正面からぶつかり合い、1台はドライバーが。

もう1台は助手席の人が挟まり、動けなくなっていた。