「お陰で確実に処女じゃなくなったさ」



「怖いっす;;」



「だから止めただろ;;」



身を寄せ合う松枝君をも巻き添えにしながら、はっきり言った私に、姉は「ありがとう!」なんて賴真の手を握り出す。



「何が“ありがとう”!?ほっといてよ、妹の恋は!だいたいね、別に人に話すほど変わった経験じゃないのぅ!ただ確実に入った自覚を持っただけでしょうが!人として、女として、大人としての経験をしただけよ!!」



「すみません……;;」



「あっ……」



「長崎優海先生を……;;」



「…………;;」



…この声は;;



「申し訳ない、こんなタイミングで;;」



「コチラコソ……;;」



兄の唖然とした顔を見ながら、聞き覚えのある声に背筋を伸ばして振り返れば、あり得ないタイミングでのご登場の隆寬さん。



「……凄いイケメン……;;」



「どうして、隆寬さんがここに;;」



「「「『――っ!??;;』」」」



…気付いたねぇ;;

みんな、前に暴露して、今もさり気なくディスってた私の“小さい”元彼だとわかっちゃったんだね;;

カウンターチェアーからピョンと降り、震える脚でカウンター越しに近付く。

侮辱で訴えられたりするだろうか;;