翠の願いはすぐに却下されてしまう。そんな話しをしているうちに、寝室に着きゆっくりとベットに寝かされてしまう。
 翠の体を組敷くようにして、色は翠の顔を見下ろした。


 「なぁ………。翠を俺にくれないか。我慢出来ないんだ。」
 「…………そんな、言い方ずるいです………。」


 潤んで熱を帯びた目と、紅潮した頬、少しはだけた着物から見える肌。そんな色っぽい姿の彼が自分を欲してくれているのだ。
 ずっと好きで片想いだった人にそんな事を言われる日がくるなど思ってもいなかった。

 翠は、その嬉しさと恥ずかしさを、感じながらも自分も色を欲しているのを感じとる。
 彼も、自分の気持ちも、拒む事はもう出来なかった。

 翠は、自分の体を起こして、小さく彼の頬に口づけをする。

 翠の言葉と、行動に少しだけ驚きながらも、了承されたと理解し、翠の体に覆い被さりながらまたキスを唇に落とした。
 それだけではなく、頬や額、耳や首筋などにも水音を響かせながら、口づけを続ける。
 その感覚と動き、彼の荒い呼吸に翻弄されながら翠は彼の与えてくれる熱を感じて幸せに、浸っていた。
 しかし、彼の手が服の中に入り、胸の下に触れた瞬間、翠は体を震わせてから、彼の手を、両手で包んで止めた。


 「あの、そこはあまり見てほしくない場所なんです。………その綺麗ではないというか、醜いところなので………。」


 翠が捲れてしまいそうな服を直しながら、そう言うけれど、色は手を止めずに、さらに翠が着ていたブラウスを傷痕が見えるように捲り上げた。


 「冷泉様っ!やめてくださいっ!!」
 「俺に全部くれるんだろ?だったら、この傷痕も俺のものだ。」
 「……あっ……….。」


 薄くなった傷に、色がキスをすると翠の体がピクンッと跳ねた。舐めるようにキスをした後、その傷を見ながら、「これが俺の憧れの証なんだ。」と小さな声で呟いた。


 「冷泉様、今なんて言ったんですか?」
 「………愛している、翠。」


 真剣な眼差しで伝える言葉を、翠はしっかりと受け止めて、ニッコリと微笑んだ。


 「私も愛しています。だから、冷泉様。名前を沢山呼んでください。今までの分の、すべてを。」


 愛しさを分かち合うように、深く口づけを交わしながら、色と翠は熱に溺れていった。

 翠はその日、何度も色に名前を呼ばれ、甘い熱と彼からの快楽を与えられ、沢山の幸せを感じていた。

 二人きりの夜は、いつまでも続いていた。