「……パパ?」
「璃桜,起きたの?」

璃桜くんは,目を擦って抱っこをしてくれてるのが誰なのかを再度確認する。

「パパぁ~。おちごとおちゅかれしゃま」
「ありがとう」

璃桜くんは,慎さんに頬をくっつけて微笑むと,『キョロキョロ』とし始めた。

「璃桜?」
「ココたんは?」
「ココちゃん?」
「あたしがどうかしましたか?」

あたしが車のある方から声を掛けると,さっきまで泣き出しそうな顔をして慎さんを見てた璃桜くんが,あたしの方へと腕を伸ばして,

「おめめしゃめたら,ココたんいなくてしゃみしかったの~」
「そっかそっかぁ~。ゴメンね。ココちゃん,璃桜くんのパパのお車の所に行ってたんだよ。」

あたしは,璃桜くんに両手を差し伸べて,抱っこをする。

「パパのくりゅま?」
「そうだよぉ。璃桜くんが乗りやすい様にしてたんだよ」
「しょうなんだぁ~」
「ココちゃんが,璃桜を置いてどこかに行くわけないよ」
「パパ」

慎さんは,璃桜くんの頭を撫でて微笑む。

「パパとボクとココたんは,3にんでいりゅの」
「「璃桜」くん」
「……そだね。璃桜くんとパパとココちゃんの3人で居ようね」

あたしは抱っこしてる璃桜くんの頬に頬擦りをした。
そんなあたしと璃桜くんを見た慎さんは,『クスッ』っと笑いながら,〝じゃぁ,そろそろ移動…買い物に行くわよ〟っと言って車のある方へと向かおうとした。
そんな慎さんの後に続こうとした時,

「あっ!!あまねくんだぁ~。バイバ~イ」
「えっ…あっ編集長…それにみなさんまで…」

あたしは足を止める。

「あまねくん?」

慎さんがあたしの居る所まで戻ってくる。

「あのねパパ,あまねくんねボクにじゅーしゅくれたの」
「そうなの?」
「うん♪」

慎さんは,あたしの耳元で〝あまねくんってどの人?〟っと聞いて来て,あたしは,〝一番最前列の真ん中に居る人で,編集長の事です〟っと教えると,慎さんは,目を点にした。

「…さすがに,お礼言ってくるわ…ちょっとここで待ってて…」
「分かりました。」

慎さんが編集長達が居る方へと向かって行くのを,あたしは璃桜くんを抱っこして見送った。