「何で結婚出来なくのか…話せない?」

弥姫は,俯くあたしを宥める様に背中を撫でながら問う。

「………奏…」
「うん…」
「…奏ね,浮気してた…」
「……えっ?!誰と??」
「……お姉ちゃん…しかも…妊娠してるんだって…奏の赤ちゃんを…」
「…う,ウソでしょっ……」

あたしは,止まっていた涙がまた,溢れ出した…。

「あたしも…ウソだと思いたい…けど…両親も既に知ってたみたいで…今後の話し合いをしたいって言われたの…」
「そっ,そんなっ…」
「あたし…許せなくて…二度と会いたくもないし…声も聞きたくない…って思っちゃって…スマホを地面に叩き付けて逃げて来たの」

そこまで話すと,弥姫は,あたしの事を抱きしめてくれた。

「そんな奴の事や,家族の事…放っといたらいいじゃない。そんな男と結婚したって幸せになれないよ。良かったじゃない。結婚する前に分かって…。」
「……ッ そ,そだね…結婚してから…じゃなくて良かったのかも…」

あたしは,涙を零しながら,弥姫に愚痴って居た。




「……話し…聞いてくれてありがとね…彼氏さん来てたのに…ごめんね…」

あたしが,そう言うと,弥姫は微笑みながら,

「気にしなくていいんだよ。みーちゃん…彼の方が,話聞いてあげな!!って言ってくれたんだから…。それに,彼とはいつでも会えるしね。ココの方を優先にしたからと言って怒る様な人なら,そんな彼氏要らない。こっちから,ポイってしてやるわ!!」
「……!!?す,凄い言い様…」

あたしが思わず苦笑いしながら言うと,弥姫は,〝やっと笑ったね。ココは,笑ってる方が可愛いんだから,もぅ泣いちゃダメ〟っと言ってくれ,あたしは,少し落ち込んでた気持ちが軽くなった様な気がした。