スマホを投げつけて走り出したあたしは,行く宛もなく走り続けてると,いつの間にか親友の家の前まで来ていた。

『ピーンポーン…』
「はーい,どちら様?」

あたしは,相手に尋ねられて居るのにも関わらず,応えずに無言のまま俯いてドアの前に立っていた。

“ちょっと,どちら様ですか?”っと不機嫌に言いながら,親友は,ドアを開けて出てきてくれる。

「えっ? …ココ??!」
「……ック…弥姫ぃ‹ミキ ›~…」

あたしは,弥姫の目の前で泣き崩れた。

「っ,ちょっ…どうしたの?何…泣いて…?」

弥姫は,オロオロしながらあたしの肩に手を掛けるが,あたしはただ泣いていた。

「弥姫?どうした?」
「あ…みーちゃん…」

弥姫が部屋の中から,声掛けて来た人の方を向く。

「……ヒック…ック…ぁ…ごめ…彼氏来てたんだね…。邪魔出来ないし…帰るね。イキナリ来て…ごめん…ね…ック…」

踵を返そうとした時だった…。

「待って。そんな事,気にしなくていいから…。ココ,一体何があったの?」
「……。」
「弥姫,オレ今日は帰るよ。その子の話聞いてあげな。また,明日来るから」

〝みーちゃん〟っと呼ばれた男性は,弥姫の頭をポンポンっとすると,部屋の中に一度戻り,荷物と車のキーを手にして,弥姫の家を後にした。

「ココ,取り敢えず中に入って。」

あたしは,『コクン』っと頷き,弥姫の家に上がらせて貰った。


部屋の中に入り,ソファーに腰を掛けてると,『コトン』っと弥姫がホットミルクが入ったマグカップをテーブルの上に置いてくれた。

「ありがとう…」

あたしは,出してくれたホットミルクを1口飲む。

「……それで?一体…何があったの?」
「………。」
「ココ?」

弥姫が首を傾げて聞いてくる。

「……った…」
「……えっ?」
「結婚…出来なくなっちゃった…」
「……えっ?!」

弥姫は,あたしからの衝撃的な発言に,驚きを隠せないで居た。

「ちょっ…結婚出来なくなった…って何があったの?結婚式まで,後2週間だったはずでしょ?」
「……コクン」

あたしは,頷く事しか出来なかった…。