4時44分45秒目の世界には

「ぉ、お父さんっ……お母さんっ……」

すすり泣くように、少女は両親を頼ることにした。

とにもかくにも、トイレから出る。

そしてドアを開けた少女は、

そのわずかな隙間から覗き込んでくる、血走った目と、見つめ合ってしまった。

「!」

とっさにドアを閉めたものの、少女はあまりにもはっきりと目の当たりにした。

瞳孔まで開かれた、ギョッとするほど血走った目玉。

その下で、くすんだ灰色の歯をずらりと並べる、口を引き裂いたような笑み。

なにかどころではない。

見知らぬ子供が、いた。

少女は頭を強く振る。

長い髪が、少女の頬を打った。

気のせいだ。気のせいだ。

さっきのは聞き間違い。今のは見間違い。

気のせいだ。気のせいだ。

さっきも、廊下にはなにもいなかった。

だからみんな、気のせいだ。

呪文を繰り返しながら、もう一度、少女はドアを開く。

そして、

そこには――





なにも、いなかった。