二階の自室からキッチンへと降りた少女は、グラスに水を注いだ。
一気、飲み込んで、少女は息をつく。
ただでさえ覚めていた目が、ひやりとした喉越しでさらに鮮明となる。
流しにグラスを置き、部屋に戻ろうとした。
その時――
トン、
と――音が聞こえた。
トン、トン――と、それは、階段を踏む音……。
トン。
おかしい。
少女は棒立ちになった。
トン。
二階には、だれもいないはずである。
父も母も、下の部屋で寝ている。
トン。
二階の部屋は自分ひとり。
それなのに、いったいなにが、いったいだれが、二階から降りてきているのか。
トン。
いったい、なにが……。
キッチンの明かりが、廊下の向こうへ白く四角く伸びている。
が、その足音は――
光に照らされる寸前で、止まった。
まるで、姿を現すことだけは、拒んでいるように。
一気、飲み込んで、少女は息をつく。
ただでさえ覚めていた目が、ひやりとした喉越しでさらに鮮明となる。
流しにグラスを置き、部屋に戻ろうとした。
その時――
トン、
と――音が聞こえた。
トン、トン――と、それは、階段を踏む音……。
トン。
おかしい。
少女は棒立ちになった。
トン。
二階には、だれもいないはずである。
父も母も、下の部屋で寝ている。
トン。
二階の部屋は自分ひとり。
それなのに、いったいなにが、いったいだれが、二階から降りてきているのか。
トン。
いったい、なにが……。
キッチンの明かりが、廊下の向こうへ白く四角く伸びている。
が、その足音は――
光に照らされる寸前で、止まった。
まるで、姿を現すことだけは、拒んでいるように。

