真っ暗い廊下の向こう。
闇が霧のようにたむろしている先から、ぴちゃん、ぴちゃんという水音は聞こえる。
洗面台の、あるほうだった。
少女は壁に手を添えたまま、ゆっくりと進んでいく。
そして廊下の右手、ぽっかりと開いた入り口を曲がってすぐのところ、電気のスイッチを入れた。
明るくなる視界。
白い洗面台。
その上の鏡――に、
自分と、
さっきの少年が映っていた。
それも、自分の肩に寄りかかるようにして。
「!」
とっさに跳ね退いた少女だが、そこには、なにも、いない。
ぴちゃん。
と、また、水音。
少女は、いっそ毅然とした態度で洗面台へ向かい、バルブを閉めた。
もう、今すぐに自分の部屋に戻り、ベッドの中で目を閉じてしまおう。
目が覚めたら、きっといつも通り、母が目玉焼きを作っていてくれてる。
そう信じ、きびすを返した少女――の背後で――
ぴちゃん。
「!」
ぴちゃん。
「……」
また、
ぴちゃん――
「ぅ、そ……」
ぴちゃん――
水滴の、
「なんで……」
ぴちゃん――
したたる音が。
闇が霧のようにたむろしている先から、ぴちゃん、ぴちゃんという水音は聞こえる。
洗面台の、あるほうだった。
少女は壁に手を添えたまま、ゆっくりと進んでいく。
そして廊下の右手、ぽっかりと開いた入り口を曲がってすぐのところ、電気のスイッチを入れた。
明るくなる視界。
白い洗面台。
その上の鏡――に、
自分と、
さっきの少年が映っていた。
それも、自分の肩に寄りかかるようにして。
「!」
とっさに跳ね退いた少女だが、そこには、なにも、いない。
ぴちゃん。
と、また、水音。
少女は、いっそ毅然とした態度で洗面台へ向かい、バルブを閉めた。
もう、今すぐに自分の部屋に戻り、ベッドの中で目を閉じてしまおう。
目が覚めたら、きっといつも通り、母が目玉焼きを作っていてくれてる。
そう信じ、きびすを返した少女――の背後で――
ぴちゃん。
「!」
ぴちゃん。
「……」
また、
ぴちゃん――
「ぅ、そ……」
ぴちゃん――
水滴の、
「なんで……」
ぴちゃん――
したたる音が。

