資料室に入ると、
「その資料はこっちの棚に戻して」

田中さんの指示通り、私は資料を手に移動した。

棚に資料を入れていたら、
「もし違っていたら申し訳ないんだけど…」

向かいの棚で同じように資料を入れていた田中さんが話を切り出してきた。

「はい、何ですか？」

私が返事をしたら、
「佃さん、社長とつきあっているの？」

田中さんが聞いてきた。

その質問に、私の手から資料が落ちそうになった。

「えっ、あの…」

「反対しているって言う訳じゃないの」

思わぬ質問に戸惑っている私に田中さんがフォローするように言った。

「それに、前にもこう言うことはあったから」

そう言った田中さんに、私は久保田さんの話を思い出した。