7歳、小学校一年生の、春。


家族で、遊園地に行こうという話になった。

…嬉しかった。純粋に。


妹はまだ1歳だったから、私の方が遊園地を楽しめると思った。

…親が私に構ってくれないのは、もう慣れた。

私が我慢すれば、それでいいから。


私は、ウキウキしながら車に乗った。



――遊園地に行く途中、事故に遭い、妹は帰らぬ人となった。







お母さんは、うつ状態になった。

ものに当たるようになった。


…もちろん、そのとき、一番責められたのは私だった。



「あんたが死ねばよかったのに」



その言葉は、深く、重く、幼い私の心を壊すには充分だった。


妹が死んだとき、悲しかったけど、きっと心のどこかで思ったんだと思う。

「あぁ、これで私が大切にしてもらえる」…って。

酷いお姉ちゃんだな。


本当に、いっそのこと、私が死んじゃえばよかったのに。

要らなかったのは私の方なんだから。


家庭内暴力…?

そんなの当たり前。

だって、要らないものは傷つけられてもいいんでしょ?

身体に残る傷じゃなかったのが、不幸中の幸いかもしれない。


…お父さんは、見て見ぬふり。

日に日に私の身体に傷が増えていっても、心配するのはお母さんのことばっかり。

段々お父さんまで、仕事でイライラしたら私に当たる始末。


この頃私は、何も感じなかった。

文字通り、何も。

痛い、辛い、悲しい、寂しい、怖い、怒り。


――当たり前だ。

壊れてるんだから。