春、クラス替え。

グランドにおかれたボードに貼られた何枚もの張り紙に、わらわらと人が群がっている。



わたしにとって、ただ自分自身のクラスを確かめるだけのそれなのに、思わず二度見してしまったのは、
そこにあるはずがないと思っていた数々の名前のうちの一つが、いかにも自然に書かれていたからだろう。


“結月すみれ”というわたしの名前のすぐ上にあった、“柳浩太”という名前。


こうして名前が並んでいるのは、少し前にも見たことがあった。

そのときは単純に、前の席が異性であることに不満を抱いただけだったけど、今回は妙に胸がざわついた。


どくどくと心臓の音がうるさくなって、肩に提げたスクールバッグを掴んでいた指先がかすかに震えた。