無音の教室にカタカタとキーボードの音が響く。
計算は少し苦手そうな栗谷さんだが、タイピングの速さはピカイチだ。
「し、篠崎先輩と陽菜先輩は、幼なじみ……
なんですよね。」
栗谷さんは手をとめずにそう聞いてくる。
「そうだよ、幼稚園の時から。」
嘘をつく必要もないので、俺は本当のことを答えた。
「……陽菜先輩ってずっとあんな感じなんですか?」
「うん、そうだね。
表に立つところではずっとあんな感じかな。
ちっちゃい時からしっかりしてて、温厚で、リーダー気質だったから。
ひながいると、みんながついてくるんだよね。」
後輩の前ではカッコつけたいだろうから、あえて家での側面は言わなかった。
「陽菜先輩ってすごいですよね。」
「そうだよね、俺もそれはずーっと思ってる。
本当、尊敬してる。」
学校での陽菜は。
っていうのも言わないでおく。
「篠崎先輩は……陽菜先輩のこと、好きなんですか?」
「え?」
かたっとキーボードの音が止んだ。
「な、なんでそんなこと聞くの。」
俺は自分が動揺してるってことはどういうことか分かってしまった。
俺は……
「私が永遠先輩のことを好きだからです。」
「え、」
「もちろん恋愛的な意味でです。
今回ミスしたのも全部、全部永遠先輩とふたりきりになりたくて、計算してやりました。」
呆気にとられている俺をよそにどんどん話が進んでいく。
「だって永遠先輩いつも陽菜先輩と一緒だから。
どうやって邪魔者を引き離そうかって考えたんです。」
ミスした時、泣きそうだったのも、全部演技だったのか?
抑えようとしても、ふつふつとした怒りが止まらなくて。
「どれだけひなが一生懸命考えて、会計を栗谷さんにしたか知らないくせに。
そうやって、ひなのきもちを踏みにじるようなことするな!」
気がつけば叫んでいた。
栗谷さんは驚いたような顔をしてから教室から走っていった。
「とわ!!」
陽菜がかけてくる。
「どうしたの、とわ。」
全然、声が耳に入らない。
「とわ、とわ!!」
帰ろうとする俺をぎゅーっと陽菜が抱きしめる。
「私も一緒に帰るから。」
計算は少し苦手そうな栗谷さんだが、タイピングの速さはピカイチだ。
「し、篠崎先輩と陽菜先輩は、幼なじみ……
なんですよね。」
栗谷さんは手をとめずにそう聞いてくる。
「そうだよ、幼稚園の時から。」
嘘をつく必要もないので、俺は本当のことを答えた。
「……陽菜先輩ってずっとあんな感じなんですか?」
「うん、そうだね。
表に立つところではずっとあんな感じかな。
ちっちゃい時からしっかりしてて、温厚で、リーダー気質だったから。
ひながいると、みんながついてくるんだよね。」
後輩の前ではカッコつけたいだろうから、あえて家での側面は言わなかった。
「陽菜先輩ってすごいですよね。」
「そうだよね、俺もそれはずーっと思ってる。
本当、尊敬してる。」
学校での陽菜は。
っていうのも言わないでおく。
「篠崎先輩は……陽菜先輩のこと、好きなんですか?」
「え?」
かたっとキーボードの音が止んだ。
「な、なんでそんなこと聞くの。」
俺は自分が動揺してるってことはどういうことか分かってしまった。
俺は……
「私が永遠先輩のことを好きだからです。」
「え、」
「もちろん恋愛的な意味でです。
今回ミスしたのも全部、全部永遠先輩とふたりきりになりたくて、計算してやりました。」
呆気にとられている俺をよそにどんどん話が進んでいく。
「だって永遠先輩いつも陽菜先輩と一緒だから。
どうやって邪魔者を引き離そうかって考えたんです。」
ミスした時、泣きそうだったのも、全部演技だったのか?
抑えようとしても、ふつふつとした怒りが止まらなくて。
「どれだけひなが一生懸命考えて、会計を栗谷さんにしたか知らないくせに。
そうやって、ひなのきもちを踏みにじるようなことするな!」
気がつけば叫んでいた。
栗谷さんは驚いたような顔をしてから教室から走っていった。
「とわ!!」
陽菜がかけてくる。
「どうしたの、とわ。」
全然、声が耳に入らない。
「とわ、とわ!!」
帰ろうとする俺をぎゅーっと陽菜が抱きしめる。
「私も一緒に帰るから。」


