俺は衝動的に陽菜を抱き寄せていた。

華奢な体が驚いたように硬直している。

「ごめん。ひな、ごめん。」

そう言うと、硬直していた陽菜の力がふわっと
ぬけた。

「なにが……?私別になにも謝ってもらうこと、ないよ?」

陽菜は一切拒もうとしない。

ただされるがままに、こちらに体をあずけてくれる。

「ひなを傷つけた」

「そ、そんなこと……。」

「ひなを支えるのは俺なのに。」

副生徒会長になったのも、同じ高校に入ったのも、
全部この危なっかしい幼なじみを支えるため。

「もう十分支えてくれてるよ、とわは。
これ以上支えられたら、私、学校でもしっかり出来なくなっちゃうかも。」

陽菜は少し笑いながらそう言った。

「でも私、これでも学校では頼れる生徒会長なんだよ。私がやらなきゃ。学校を動かさなきゃ。」

今度は陽菜が自分からそっと俺から離れた。

「やっぱり自分の部屋で寝る!
ありがとうね、とわ」

陽菜はベッドから体を起こした。

「おう、おやすみ」


ドアが閉まる音が聞こえ、冷たい風が少し吹き込んだ。